山岡達丸です。
1月28日より通常国会が始まりました。安倍総理の施政方針演説も行なわれました。
『子どもたちを産み、育てやすい日本へと、大きく転換していく。そのことによって、「希望出生率1.8」の実現を目指します』
これは安倍総理の施政方針演説の一節です。この文言は、安倍政権の特徴と言うべき、ミスリードが含まれています。
日本の出生率(合計特殊出生率)の最新データは2017年の1.43程度で、2年連続で落ち込んでいます。1.8を目指すとは、一見すると野心的な数字であり、大胆に出生率を上げていく意欲を示しているように見えます。しかしよく見てみると出生率は出生率でも「希望」出生率となっていることにお気付きでしょうか。
希望出生率とは、子どもを生みたいと希望する人が、その希望通りに生むことが出来た場合の出生率で、この数値が上がっても実際の出生数が増えることを指しません。
大々的に少子化対策を打ち出しているように見えて、唱えたのは「希望」出生率という別の指標。さらに政府は現時点の推定希望出生率は1.8程度とすでに発表しています。出生率1.8を目指すとは言わず、希望出生率1.8を目指すという言葉がいかに空虚であるか。一見、言葉の上では何かしらやっているような感じを演出しつつ、実際は責任を持たなくて良いという、実によく出来た表現です。
そもそも出生率は2+αを越えていかなければ、少子化問題は根本的な解決をしないのにもかかわらず、「希望する」人の声を集めても1.8程度にしかならない社会情勢は、むしろ深刻だと考えるべきものですが、安倍総理の演説手法というのは、このようにあえて誤解させるような表現=ミスリードがあまりに多すぎます。
しかしそれでも自信満々に話すことと、マスコミに内容の間違いを解説させないということを徹底することにより、結果として政権は支持率を維持、一時的に下がっても次第に回復するという状況を作ってきました。政権運営という点だけを見れば実にうまくやっているということになろうと思います。
野党はこの状況をいかに打破できるのか。提案とか断固反対とか、そうした小手先の戦術よりも、もっと根本的な部分に着目していかねば、空回りが続くだけのように思います。
胆振・日高としては震災の直接的な復興のほか、今国会では震災等による地元経済の落ち込みの回復に向けた取り組みにも力を入れていきます。あわせて、地元回りの中でいただいたご意見を踏まえつつ、地域課題の積極的な解決に取り組みたいと思います。
通常国会は150日。6月末までの気を引き締めて臨んで参ります。