山岡達丸です。

 時間労働の概念を無くすという高度プロフェッショナル制度を含んだ、いわゆる働き改革法が国会で成立したことは極めて残念です。休日、通勤などのあらゆる手当をなくし、時間外労働の賃金も計算しないという高度プロフェッショナル制度の考え方は、戦前の労働者のありように近いものだと感じます。戦前の日本は、一部の工場労働者を除いて、労働環境にかかわる実効的な法律は事実上ありませんでした。それゆえに労働者の労働環境は原則として雇用主が全て決めていて、時間外、休日、通勤手当などの概念もありませんでした。労働組合は存在はしても、法律で守られてはいませんでした。戦争が終わり、労働基本権が明記された日本国憲法が施行され、労働関連法が議会で成立し、8時間労働の原則や合法的な労働組合の存在などの規定が設けられました。職場に不満があるときに労働者が改善を要求できる制度が法のもとに保障されたのは戦後になってからです。労働者ははるか昔から存在したでしょうが、権利が守られるようになってからは70年程度の歴史しかありません。ようやく勝ち取った権利を失うという意味でも、私は今回の法律は非常に深刻だと思っており、必ずや削除を含めた見直しを行っていかなければならないものと思っています。

 今回の参議院の国民民主党の国会対応については賛否があり、私も個人的に思うところはありますが、政党としての新しいありようを示そうと試行錯誤をしているという意味で執行部の努力に一定の敬意は持っています。そうした努力が国民の皆様の気持ちに響いているのかどうか、遠からず数字として現れることでしょう。その結果をきちんと分析し、内輪の論理や主観にとらわれず、冷静に評価して、必要ならば大胆な見直しを図ることも含めて今後の対応のあり方をさらに検討すべきなのだろうと思います。

 この件で大切だと思うのは、法案の問題部分を削除するという強い意思があるかどうかです。その意思があるならば、何としても政権交代を実現せねばなりません。野党同士に手法の違いがあれば、それがきっかけに憎しみが生まれがちでありますが、大局において同じ目標を持てるのかどうかを冷静に判断せねばなりません。目標が同じならば、思いを共に国民の期待を集めることができる勢力を築いていくことこそが、本当に必要なことだろうと思います。私の立場からも出来うる限りの努力を続けたいと思います。